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「ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か」を読んで

「ザ・ゴール」を読んだ。

私が「プロジェクトマネジメントがしたい」という話をしたときに、職場の先輩からお勧めされた本である。


 

ページ数が500p以上あり、結構読むのに時間がかかる。導入部があまり面白くなく、何度か挫折していたが、やっと読み切ることができたので、読んだ内容をまとめておく。途中からはすごく面白いので、最初はつまらなく感じたとしても頑張って読むことをお勧めする。漫画版も出ているようなので、文字が多いのがつらい人はそちらでもいいかもしれない。

 

物語は、とある工場の所長アレックスによって語られる。アレックスの工場では客への出荷が間に合わず納期に遅れ、閉鎖されるかもしれないという話が持ち上がる。しかし工場は、技術や良い機械、ロボット、コンピュータも揃っており、また有能な人材もいて、本来はいい工場であるはず。それなのになぜ納期に間に合わないのか。アレックスは悩む。

 

ある時、空港で、昔世話になった恩師(物理の先生)ジョナと遭遇する。少しの会話で、ジョナはアレックスの工場に問題があり、彼が困っているということを見抜く。物語を通して、ジョナが何度か助言をし、アレックスがそれに従う、あるいはその助言をもとに問題を解決していくこととなる。まずは、言葉の定義や、企業が何を目指しているのか、目標を達するための指標は何かを考えるところからだ。

 

生産的であるというのは何か?→自己の目標と照らし合わせて何かを達成したということ。

企業の目標とは何か?→品質のよい製品を作ること?効率よく製品を作ること?技術?マーケットシェア?否、これらは目標を達成するための手段である。企業とは「お金を儲けること」のために存在する。

では、会社がお金を儲けているかどうかを知るための指標は?→純利益、投資収益率、キャッシュフロー。ただし、メーカーの現場では役に立たない。

それならば、どのような指標を使うと良いか?→スループット、在庫、作業経費。在庫は完成品だけでなく、仕掛品や原材料、作りかけの部品も含む。指標の定義は下記の通りだ。

スループットとは:販売を通じてお金を作り出す割合のこと

在庫とは:販売しようとするものを購入するために投資したすべてのお金のこと

作業経費とは:在庫をスループットに帰るために費やすお金のこと

 

アレックスの工場で起きている問題は下記のようなものがある。

・余ってる部品や足りない部品がある

・オーダーの入っていない製品の部品を、そのうち必要になるからといって作っている

・在庫は増えるが、市場からの需要が増えない

そこで、無理に作らず、在庫を減らしたらどうかという提案が出るが、作ることを減らせば効率は下がってしまう。作業員も、何もせずにいたら雇っているお金の無駄遣いとなってしまう。しかしジョナは、作業員が手を休めず常に作業している工場は、非常に非効率的だという。

世界中のメーカーは、バランスの取れた工場を目指している。生産能力と市場の需要が完璧にバランスの取れている工場のことである。しかしそんな工場は存在しない。なぜならば、生産能力を市場の需要に合わせて縮小しようとすると作業経費の削減しかできない。必要なのは、スループットを増やしながら作業経費と在庫を減らすことである。しかし、どの工場にも依存的事象、統計的変動が存在するため、非常に難しい。

アレックスは悩んだ。依存的事象、統計的変動というのは何も真新しいものではない。製造において、ある作業を行う前に別の作業を行う必要があるというのは明らかなことであるし、工場に限らず、どんなプロセスにも見られるものである。統計的変動についても、変動というのは平均化されるはずなので、一つ一つは違っていたとしても最終的には平均化するはずだ…。

アレックスは息子のボーイスカウトのハイキングで、メンバーを一列に歩かせて目的地までたどり着かせる必要があった。これについても、各自の歩くペースが大体同じくらいなら、目的地までスピードは平均化されるはずだと考えたが、実際は列は長く伸びてしまい、先頭と最後尾の間隔は広がってしまう。

列が進むスピードを決めているのは先頭の者だ。それより後ろの者がペースを落とすと、その分、列が長くなる。しかし後ろの者がペースを上げても、前の者を追い越すことはできない。それぞれの歩くスピードは、それぞれの前を歩く人のスピードに依存している。遅くなった分のスピードは蓄積してしまう。同じことが製造現場でも起きているのだ。つまり、スループットは最も遅いものに依存している

そこで、アレックスは工場を次のような手順を経て、改善することにした。

1.工場内のリソースを、ボトルネック(処理能力が、与えられた仕事量より小さい)と非ボトルネック(処理能力が、与えられた仕事量より大きい)とに分類する。

2.ボトルネックの処理能力を改善する。

 - 部品のすべてをボトルネックを通すのではなく、欠陥品を取り除いたうえで問題のない部品だけをボトルネックに通す。

 - 同じ作業ができるほかの機械も使う

3.優先度の高い部品から作業をする

4.異なるバッチだとしても、処理温度が同じだったら一緒に処理する

しかし、これらの改善を行ってもなお、部品が作業待ちになり溜まってしまう部分が出てきてしまった。処理能力が高い機械Xから低い機械Yへ部品を流すと、当然部品はあまる。その逆にYからXへ部品を流すと、Xにアイドルタイムが発生する。一見、非効率的に見えるが、Xには他からも部品が流れてくるため、これでよい。リソースを使用することと活用することは別である。前者は単純に機械や装置のスイッチを入れることであり、後者は目標達成に向かってリソースを使うことである。

さらに、アレックスは下記の改善も行う。

5.ボトルネックのバッチサイズを減らす

バッチサイズを半分に減らしたら、機械のセットアップ回数は増えるが、仕掛品や仕掛りへの投資が半分で済み、在庫が半分に減るため、在庫に取られるキャッシュも半分で済む。また、ボトルネックの前で待たされるキュータイムと、非ボトルネックにおいてボトルネックから供給される部品を待つウエイトタイムも半分に減らすことができるため、部品の流れがスピードアップする。

これらの改善を行うことで、アレックスは製品の出荷速度を速めることに成功した。

ここまでが7章に書かれている内容である。8章からは、工場を立て直したアレックスが昇進するにあたり、どのように部門を運営していくのか、どのように評価していくのかを考えていく内容となっている。

 

工場の話と並行して、アレックスは妻にも逃げられかけるのだが、こちらは企業に関する話ではないので省略した。どうなったか気になる人は本を読むべし。

 

 

ぶっちゃけの感想

長かった。本当に長かった。毎日1時間ぐらいずつ読み進めてなんとか読み切った。その間、他の本は一切読めなかった…。

途中からは面白いとはいえ、ビジネスの話を扱うため、少し難しく感じた。しかしとても勉強になる本だと思った。効率よく何かを進めるなら、とにかく待ち時間をなくせばいいのではないかと私は考えていたが、必ずしもそれが良いとは限らないのだなと思った。

昇進後の話の部分はあまり面白くなかったので(だってもう工場が上手くいくようになってしまって、スリルが感じられなくなったし…)、ざっと目を通した程度になっている。もしかしたらその章にも面白い話はあるかもしれないが、この記事ではその部分は触れていない。すいません。